2019.11.9
水夢王国主催【水中リハビリシンポジウム2019】に参加してきました。
主宰の藤木太郎先生のご挨拶から始まり、聖マリアンナ医科大学 元一般外科教授 窪田倭先生の基調講演、その他全国から集まったパネラーの皆様の発表がありました。
窪田先生の話の中に、記憶を司る海馬の話がありました。この海馬という組織は短期記憶を長期記憶に変換する場であり年齢と共に体積が減少していくそうです。つまり、年齢と共に物事を忘れっぽくなる原因の一つがこのためであると言えるでしょう。
しかしながら、定期的に運動を行うことにより海馬の体積の減少が抑えられ、記憶力もUPするという研究結果も出ているそうです。そして、その運動で何より大切なのが歩行運動であるということ。具体的には1日1万歩以上を目安に歩くことを推奨しているとの事でした。
この一連の話の中で取り上げられたのは「陸上運動と水中運動のどちらが効果的なのか」です。「なぜ陸上でできることをわざわざ水中でやる必要があるのか。」と私達もよく聞かれます。
水中では水圧により血流が活性化され、水温の影響(冷たいとか温かい)で触覚を刺激し大脳に作用することで認知機能の活性化や神経回路の改善や再生にも役立ちます。また、浮力があることで関節への負荷を軽減させた状態で運動をする事が可能になります。これらの事から陸上運動よりも水中運動の方が効果的であるという事です。
そして、最も印象深い話だったのは、日本における水中リハビリは30年以上前から研究はされていて、研究の後継者や指導者がいない、学会における流行りが過ぎている等の理由により水中リハビリは既に忘れ去られた存在である。という藤木先生の話です。
実際に水中リハビリを研究している人いるし、何より水中リハビリを必要とされている方はたくさんいらっしゃいます。必要性があるにもかかわらず衰退している、忘れ去られている現状をなんとか打破せねばなりません。
今回のシンポジウムでは、改めて水の大いなる可能性を感じるとともに、日本のプールリハは世界的に見ても遅れているのだということを痛感致しました。
プールリハビリは、「良いものは良い」で終わらせて良いものではありません。
今後は行政や民間団体等それぞれの垣根を越えて一層の団結をし、プールリハビリの必要性をより多くの人に説いていく使命があるのだと感じました。
日本水治運動療法協会 山内 翔
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